経絡治療とは
経絡治療とは、東洋医学に基づいた日本伝統の鍼灸療法です。
古典医学に則り、「経絡」を調整することで、気・血・津液の生体エネルギーの循環および内臓の働きを正常に回復し、病気を治す治療法です。
経絡とは、気・血・津液の流れる目に見えない通路のことです。
十二本ある経絡は、同じく十二個ある内臓(六蔵六腑)に一本ずつ備わっており、臓腑の働きをサポート及びコントロールすることで、身体機能を調整しています。
経絡治療では、病気になる原因は「内臓エネルギーの低下(蔵の精気の虚)」にあると考えています。
ここでいう内臓とは肝・脾・肺・腎の四つの臓のことを指します。
何故なら、これら四つの臓が、気・血・津液を作り出し全身に分配している中枢だからです。
そして、四臓の性質を病態ごとに分類したものが、「肝虚証」・「脾虚証」・「肺虚証」・「腎虚証」の基本四証で、治療方針となります。
更に、これらが細分化されることで(寒熱八証)、様々な病態に対応できるようになっています。
この四臓のうちいずれかがが弱ると、経絡に異常を来たし、気・血・津液の流れが悪くなったり、更には他の臓腑の働きが弱って、病気を発症します。
治療法としては、経絡の上に点在する経穴(ツボ)に、鍼や灸を用いて、経絡を動かして、気・血・津液、そして臓腑の働きを回復していきます。
この中で、四臓の働きを回復する部分を「本治法」といい、治療の結果を左右する最も大切な治療法となっています。
そして、病気の発生過程から、実際の症状までを改善する部分を「標治法」といいます。
このように、本治法・標治法の二段構成になっており、病気を根本から改善することを目的としたシステムとなっています。
また、東洋医学独自の診察法として、両手首の脈を診る「脈診」が特徴的で、これにより内蔵や経絡の異常を察知し、病気の全体像を掴み、且つ治療の指針とします。
経絡治療は身体そのものを根本から元気にする、大いに可能性のある治療法なのです。
なぜ、
現代
経絡治療なのか?
現代社会は、生活環境の多様化により、病気の要因や質も多様化しています。
そのことが、自覚症状と「本当の病気の原因」との間にズレを生じ、治癒を困難にしています。
つまり、我々が自覚している不調や症状は「氷山の一角」に過ぎず、その裏には様々な「病気の芽」がひしめいており、もはや症状のみの対症療法では、病気は治らない時代になってしまいました。
経絡治療は、目先の症状にとらわれず、身体そのものを包括的に捉え、根本から病気を改善する“全体治療(ホリスティック治療)”を本旨とします。
数千年の長きにわたって研究され、発展してきた東洋医学の英知が、ここに結集しています。
だからこそ、この複雑化した現代社会に相応しい治療法だと言えるのです。